2月6日(土)は、みんみんで環境省主催の「グリーンアノールのことしっていますか」という外来種問題の普及啓発イベントがありました。
このイベントでは、子どもたちが楽しく外来種問題を学べるようにしたいという要望をうけて、外来種ゲーム等を考案、実施させていただきました。
天気が良くなかったので、参加者が少ないことを心配しましたが、予想外の大入りでした。\(^o^)/
【外来種ゲーム】
在来の生き物が生息する場所に、本来そこにいないはずの生き物が入り込んできたらどういう影響があるのかを環境収容力という視点で考えるアクティビティです。
ゲームをより楽しくするために、トカゲ型マジックハンドを考案しました。
紐を引っ張ると、洗濯バサミにつけた輪っかが外れてパチンと口を閉じる仕掛けです。 トカゲ役の子どもたちはこのマジックハンドで餌(100均のデコレーションボール)をとります。
まずは、二人に一つづつマジックハンドを配って、テーブルの上で餌をとる練習をしました。
ある程度、餌がとれるようになったら、ロープで丸く囲まれた場所に移動してゲームの開始です。
ロープの内側には、デコレーションボールが撒かれています。 子どもたちは、二人ペアになってマジックハンドを持ってロープの外側に並びました。
条件1(猫なし、外来トカゲなし)
「みなさんは子どもの在来トカゲです。このロープの内側は在来トカゲの餌場です。」
「ダックコール(スタートの合図)を吹いたら、ペアの一人がマジックハンドを持ってロープの内側に入って餌をとります。 一回でとれる餌は一つだけです。一つとったら、外側に出てもう一人のペアと交代です。これを終わりの合図(ダックコール)があるまで繰り返します。」
「ブブブーブブー」、ダックコールの合図で終了して、ペアごとにどれだけ餌をとれたか確認しました。
「餌が十分にとれなかったトカゲはどうなると思う」
「お腹が空く」 「死んでしまうかも」
「3個以上餌をとれなかったトカゲは、残念ながらお腹が空いて死んでしまいました」
生き残った在来トカゲは12匹です。 ほとんど生き残りました。
同じ条件でもう一回
「3個なんで、楽勝!」
とった餌の数を確認するとみんな余裕の表情です。
「トカゲは成長して大きくなっています。 大きくなるとたくさん食べなくっちゃいけないよね。生き残れるのは5個以上とったトカゲだけです」
生き残ったトカゲは5匹でした。
条件2(ネコあり、外来トカゲなし)
在来トカゲのいる場所にネコがいるとどうなるでしょう。
ネコ役(大人)を登場させました。
「ネコに触れられるとトカゲは食べられて死んでしまいます」
ロープの内側にかくれ場所用の緑のフェルトをいくつか配置しました。
「フェルトはかくれ場所です。かくれ場所にいれば(体の一部が触れていれば)、ネコに襲われません。ただし、一つの隠れ場所にいることができるトカゲは一匹だけです。」
ネコが入ると、とたんに慌ただしくなりました。 子どもたちは、ネコに気をつけながら、うまくかくれ場所を利用して餌をとっていました。
終了の合図の後で確認すると、5個以上餌をとることができて生き残ったのは5匹でした。 かくれ場所のおかげでネコに食べられたものはいませんでした。
条件3(ネコあり、外来トカゲあり)
ネコの他に外来のトカゲがやってきたらどうなるでしょう。
在来トカゲ役(大人)を二人登場させました。外来トカゲは顎の下がピンク色です。
「外来トカゲは餌を取るのが上手です。だから、直接洗濯バサミを掴んで一度に2個まで餌をとることができます。また、外来トカゲは強いので、在来トカゲは先にかくれ場所にいても、あとから来た外来トカゲに、かくれ場所を譲らなくてはいけません」
「そんなのインチキ」子どもたちから一斉に抗議の声が上がりました。 でも、それが外来種です。
ゲームが始まると、もう、在来のトカゲたちは大変です。 ネコに追いかけられ、隠れ場所に逃げても、外来トカゲに追い払われるし、もたもたしていると餌がどんどん減ってきます。 「わー」 「きゃー」の悲鳴とともに、白熱しました。
終了の合図の前には、餌はほとんど残っていませんでした。 今度は、在来トカゲ数匹と外来トカゲ一匹がネコに食べられていました。
残ったトカゲで5つ以上の餌をとっているものはいませんでした。
残ったのは、外来トカゲ一匹だけでした。
【ぬりえ】
外来のトカゲであるグリーンアノーをよく知ってもらうために、グリーンアノールと緑色をしていて間違えやすいキノボリトカゲとアオカナヘビのぬりえをしました。
パンフレットの図とホワイトボードに貼られた写真をよく見て、色と形を比較しながら色をぬっていきます。
【グリーンアノールはどこにいるの】
グリーンアノールの捕獲調査をしている職員に南部におけるグリーンアノールの広がりについて説明を行なってもらいました。
【ふりかえり】
外来種ゲーム
プロジェクト・ワイルドの「環境収容力Carring capacity」というアクティビティを利用してトカゲの外来種ゲームを考案して実施しましたが、子どもたちの食いつきも良く、基本的には良かったのかなと思います。
課題としては、
・環境収容力という概念をもっとわかりやすくうまく伝える工夫をすること、
・それぞれの条件でゲームを始める前に、もっとしっかり予想をさせること、
・予想と実際の結果を比較して、なぜそうなるのかを子どもたちにもっとしっかり考えさせることを終わってから感じました。
ぬりえ
グリーンアノールの特徴を理解してもらうために、間違えやすいキノボリトカゲとアオカナヘビのぬりえをしてもらったのですが、この3種類の違いを明確に解説しないままぬりえを開始してしまいました。 後で解説しようと思いましたが、グリーンアノールの分布の説明の時にフォローしてもらいました。 こんなことがないよう、あらかじめ違いを表と図にまとめておくべきでした。
グリーンアノールはどこにいるの
終わりに、沖縄島南部における広がりの現状を話してもらったのですが、外来種ゲームとの連動をもっとうまくすべきだったと思います。
今回は、環境省の事業の孫受けでグリーンアノールの普及啓発イベントに関わったのですが、外来種ゲームが面白そうなので、今回の課題を踏まえて、もう少し完成したアクティビティに作りこんでみたいと思います。
興味のある方は連絡ください。出前講座で対応できます。
(ふじい)