先日、首里金城町に住む知り合いから自分たちの住んでいる近所の場所でホタルを保護したいので現場を見てほしいと頼まれて見に行きました。
皆さんが気にかけている場所に、暗くなる前から集まって光りだすのを待ちました。 7時20分過ぎに、暗がりになっている石灰岩の斜面で一つ二つ光り始めて、40分頃までには、斜面の草地ややぶになっている場所、大きな木の根元の草のあたりで、ピカピカにぎやかに光るようになりました。そのうち、ホタルたちは、飛び回る範囲を広げて、あたりを飛び回るようになりました。 結構な数でした。そして、9時近くになると光っているホタルの数は急に少なくなりました。
近所の人たちは、ホタルの活動のピークの時に見ることがあまりなかったようで、たくさんのホタルが乱舞する姿に感動をしていました。
そして、地域でホタルを守る活動をすることを改めて決意されたようでした。
沖縄本島で、成虫がよく光るホタルといえば、点滅するクロイワボタルとほとんど点滅しないオキナワスジボタルの2種類です。金城町のこの場所で見られたのは、大多数がクロイワボタルでした。
実は、クロイワボタルはなぞの多いホタルです。 沖縄本島では、一番親しまれているホタルにもかかわらず、幼虫がどんな姿をしていて、どこに住んで、何を食べているか、まだよくわかっていないのです。
クロイワボタルを保護するとなると、よくわかっていないことが多すぎるのですが、経験的につぎのことが重要な気がしています。
①生息する場所には暗さが確保されていること。
②飛び回る空間が確保されていること。
③森や林縁部、川沿いの岩や石積みに覆われた土、人が踏みつけたりしない草地。
金城町のこの場所についていうと、①②③の条件をほとんどクリアしていました。
①については、外灯を人感センサーのものに交換するなどすれば、生息適地を増やすこともできそうです。
③についても、現在の草刈清掃が過度になっている可能性があるので、管理を工夫するとよりよくなりそうです。
もう一つ、クロイワボタルには保全上、重要な特性があります。それは、メスが飛ばないことです。そのため、ある場所からクロイワボタルがいったんいなくなってしまうと元に戻すことは非常に困難です。今いる場所をしっかり守るしかありません。
今回、ホタルの下見に参加された近所の皆さんからは、金城町のホタルの生息場所を調べる活動をしてみてはどうかという提案がなされました。 方法は簡単です。7時半ころにホタルの光っている場所を確認するだけです。 時間が遅くなるとだんだん飛び回る範囲を広げますが、早い時間だと光っている場所が、ホタルの生息場所である可能性がとても高くなります。
この方法は、生息場所を特定するにはとても有効だと思います。 生息場所が特定できれば、その周辺をホタルの生息に好適な環境に改善することで、ホタルを増やすことができるかもしれません。
ホタルの飛び交うまちに住みたいと持っている皆さん。近所でホタルの生息場所を探してみませんか。
(ふじい)
みんみんの大研修室の裏です。 7時半ころからホタルが光り始めました。 ここにもホタルが住んでいます。赤くなっているのは夕日の木漏れ日です。