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2022年10月15日

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編

#末吉公園チャレンジ

いよいよ円卓会議です🙂

と思ったら、開始前にまさかの土砂ぶり雨

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編

10分ほどご参加者を待ってスタートしましたキラキラ 

円卓会議の趣旨説明の後に主催者挨拶です。
那覇市まちづくり協働推進課の屋比久課長よりご挨拶頂きました。


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲開会のご挨拶 


『論点提供』は「沖縄自然環境ファンクラブ」の代表、森の家みんみんでお馴染み藤井さんから。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲藤井さん

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲円卓会議の様子

今回の発表内容は、主催者側との打合せも踏まえて次の流れで行うことにしました。

末吉公園が那覇市に残された貴重な森であることや、「#末吉公園チャレンジ」の合言葉でもある「在来種を守る」観点から、どのようなグリーンアノール対策を行うことが出来るか話し合う材料を提供することにしました。

(1)末吉公園の自然の特徴
(2)末吉公園のグリーンアノール対策
(3)沖縄自然環境ファンクラブの活動
(4)トラップ設置やレスキュー活動についての考え
(5)末吉公園における課題

【藤井さん発表のまとめ】

グラフィックレコーディング(板書)はこちらですキラキラ 

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲藤井さんの発表 板書①

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲藤井さんの発表 板書②



【論点提供のスライドご紹介】

ちょっと長いですが、当日ご参加できなかった方のためにスライドと当日の説明(一部)をご紹介します。

(1) 末吉の森の自然の特徴

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲『沖縄中南部は、沖縄島北部と比較すると自然植生(森林など)がとても少ない。』


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲『過去の研究によると、末吉の森はリター(落ち葉)の量は年間14トン/ haと多く生産性が高い。』
 小学校の全校生徒の体重分ぐらい、と説明していました。

(2)グリーンアノール事業の説明

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲グリーンアノール事業(末吉公園での経緯)

2021年5月から粘着トラップが設置され、現在1100以上のトラップが末吉公園に設置されています。


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲粘着トラップの利点


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲粘着トラップの不利点(問題点)

 粘着トラップは捕獲できる確率が高いという利点があります。
一方で、他のトカゲ類や鳥、小さなヘビなど他の生き物も一緒に捕獲してしまうという問題点があります。


(3)沖縄自然環境ファンクラブの活動


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲沖縄自然環境ファンクラブの活動

○トラップ設置当初に在来トカゲ類の混獲が多くみられたこと、混獲低減のためのデータの収集も目的として、沖縄県の許可を得て在来種レスキューを始めたこと。

グリーンアノールの捕獲が無い林内のトラップは撤去、グリーンアノールが多い場所については増設をお願いしたことなどを説明しました。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲レスキュー結果(2021年5月~2022年9月末)

○グリーンアノールの捕獲数と在来トカゲ類(オキナワキノボリトカゲやアオカナヘビ)の混獲個体数
びっくりされるので言いにくいのですが、1400個体以上と多くのキノボリトカゲが混獲されてしまっているという現実があります。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲レスキュー率

レスキューできるかどうかは、気温や見回り回数にもよるので月ごとに変化しますが、キノボリトカゲは全体の約63%、アオカナヘビは全体の約50%をレスキューできました。
夏場はほとんど毎日レスキュー活動を行いました。

レスキューの回数が増えれば、レスキュー率はアップすると思います。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲グリーンアノールと在来トカゲ類の月別変化(2022年)

末吉公園での捕獲数としては、在来トカゲ類キノボリトカゲの捕獲数がグリーンアノールより多いこと、去年と比較してグリーンアノールの数が減少していない(増加傾向にある)ことなどを説明しました。


(4)シゼファンの活動や取り組み


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編

▲「#末吉公園チャレンジ」活動紹介


○地元新聞紙 琉球新報さんの新聞記事も引用して末吉公園チャレンジを紹介しました。
 
10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲末吉公園チャレンジ 「草刈りイベント」の様子

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲末吉公園チャレンジ 「緊急のトラップ追加設置」

○約200個のトラップで40個体のグリーンアノールが捕獲できました。(5月を入れると44個体)
 グリーンアノールがいるところにトラップをかけているので、効率としては高いです。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲グリーンアノール防除活動と在来種レスキューについての考え

○公園内部への侵入を出来るだけ食い止めたい
○在来種への影響を少なく、回復できるように
○在来種が健全に生息し続けることで、外来生物の侵入を食い止められないか。
○末吉公園の防除活動が成功事例として他で活用されて欲しい。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編

▲住宅地からの侵入 、レスキュー活動とトラップ設置の模式図

・グリーンアノールの侵入に対しては素早いトラップ設置が必要。
・トラップが多くなるとレスキューが間に合わなくなるジレンマに。
・住宅地への対応が抜けていることも問題。


(5)末吉公園における課題

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲グリーンアノールの課題

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲グリーンアノール以外の課題

お読みいただきありがとうございました。15分の予定が30分ほどに💦

発表の中でレスキュー活動に中学生が参加しているという話題が出たので、司会の平良さんからご家族にご質問。

レスキューをはじめたきっかけは何ですか?など

(ご参加者コメント)
○新聞記事でグリーンアノールの話題を知り、トラップにキノボリトカゲなどがかかっているのを見たことがレスキューするきっかけになった
○シゼファンスタッフから連絡があり一緒に活動している
○多い時は週に3回レスキュー回った
○レスキュー活動をする中で子ども達と話をする機会も増えた 

(レスキュー活動では罠番号などのデータも提供頂いています。ご協力下さりどうもありがとうございます!)


次に「着席者」の皆さんから、ご紹介と藤井さんの発表を聞いた感想などをお話いただきました。

トップバッターは沖縄県自然保護課の和宇慶さん

グリーンアノールだけでなく沖縄県事業の外来種全般をご担当されています。

当日の板書からご紹介します。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編

▲和宇慶さんのコメント 板書

・沖縄県ではグリーンアノール「拡散リスク低減」を防除の目標に掲げている
・平成27年から沖縄本島でグリーンアノール事業に取り組んでいる(※環境省から引き継ぎ、本島で捕獲を含めた事業を開始した年が平成28年です)
・現在、那覇市や近郊の市町村約30箇所で粘着トラップ設置を行っている

・地域との連携が必要なフェーズにきている。
・民有地へのトラップ設置は行政としてむずかしい。


おふたり目はキノボリトカゲやクロイワトカゲモドキの研究者、田中聡(さとし)先生

8月に行ったキノボリトカゲの勉強会と観察会に続いてのご登壇です。(どうもありがとうございます!)

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編

▲板書からご紹介

田中聡さんからは、
○「グリーンアノールは手強い」
○「在来種を圧迫する可能性」
○「住宅エリアの対策重要(行政の役割)」「トラップ設置の協力を得る際はインセンティブが必要」
○「SDGsという言葉を毎日のように聞く」
○トラップ設置に協力してくれた民家へステッカーを配布してはどうか。」
○「末吉公園でキノボリトカゲの調査を40年前にした頃と、2020年などにした時と比べると約1/2に生息密度が減っていた。藤井さん達がキノボリトカゲをレスキューしてトラップが無いところに放しているという話だったが、(環境収容力は空いているので)受け入れられると思う」

というようなコメントを頂きました。

3人目は末吉公園に近接する大名地区にお住いの「大名小学校区生涯学習館」の西浜さんです。


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲西浜さんのコメント 板書

西浜さんからは、
○「首里の石嶺町でトラップを設置する話を昔聞いたことがある、大名地区ではまだグリーンアノールを見たことがない」
○「夜はフクロウの声が聞こえて末吉の森は豊かだと思っている」
○「大名地域は末吉公園の周辺にお墓が多くできて、シーミーの時期は交通渋滞が起きたり地域の人は困っている」などのお話をいただきました。


4人目は那覇市公園管理課の蓑茂さんです。

普段のお仕事紹介で笑ってしまいました。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲普段のお仕事のご紹介。


左が市民からのありがたいご意見(苦情や要望)、右がお礼のお電話を頂いて笑顔(!)の様子です😄


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲蓑茂さんコメント 板書

蓑茂さんは沖縄自然環境ファンクラブの活動でもお世話になっています。(草刈りやグリーンアノールの粘着トラップ設置許可)

円卓会議の前のミニ観察会にも参加下さいました。

他に司会の平良さんから「レスキューされているお話をどう思いますか」というご質問に対して、
「(子ども達がレスキューしているのを見て)子ども達が好きなことに打ち込んでいて、公園が良い使われ方をしてもらえてるな~」と感じたそう。

多くはないけれどもトラップに違う生き物がかかっているという市民からのお電話もありますというお話をいただきました。


ちなみに那覇市の公園はなんと全部で175以上あるそうです。
末吉公園でも、時々、公園管理課の職員の皆さんがハチの巣を撤去したり、芝生の広場を修繕しているのを見かけます。たくさんの公園を管理されていて大変だな~と思いました。

5人目は、お待たせしました、琉球新報の安里記者です。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲安里記者のコメント板書


安里記者、普段インタビューする側なので話をするのは苦手なんです、と冗談で仰っていましたが、面白おかしくお話下さり場を盛り上げてくださいました!!ありがとうございます。


安里記者は4月に「#末吉公園チャレンジ 第1弾草刈イベント~グリーンアノールの繫殖場所を減らそう~」の取材して下さいました。

安里さんからは、

○「琉球新報社で「グリーンアノール」とデータベースで検索すると23件ヒットしたんです。でも、見つけたよという目撃情報が多くて「みんなで防除しよう」というのは藤井さん達のところが初めてでした。」
○「混獲のお話もその時から聞いていたのですが、すみません、防除を中心に書かせてもらいました。でも、取材した高校生から「外来種も在来種も同じ生き物なので何だか複雑」とコメントをもらいました、記事を読んだ読者が考えるきっかけになるような記事を書きたいと思っています」「今日、中学生がレスキューしているのをみて、記事を読んで参加してくれてたらいいな、またこの子たちの活動を知って取り組んでくれる子ども達が増えるような取材をしたいなと思っています」

などのコメント頂きました。

次はサブセッション、3、4人のグループに分かれてのグループワークです。

着席者も交えて20分ほどグループワーク「感想」や「これからのアイデア」を出し合いました。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編
▲グループワーク

ご参加からの感想&アイデアはこちら下をご覧ください。


10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編

▲感想やアイデア

○死骸を回収するロッカーがあれば(冷凍庫など)
○QRコードで写真と一緒に報告できるようにしてはどうか。
○グリーンアノールを殺して良い根拠も示す必要がある。
○いろんな生き物が載ったwebサイトを作ってはどうか。
○草刈りが侵入を防げる。 等


グループワーク後は、再びマイクを中央に戻して藤井さんや着席者の方からコメントをいただきました。

10/5 末吉公園の自然を守る円卓会議 会議編

▲振り返り

ふりかえりでは、田中先生から「末吉の森は宝」というご意見や、西浜さんからグリーンアノールの模型などで周知してはというご提案をいただきました。


○参加者の皆さんからのアンケートのご紹介(印象に残ったこと、良いアイデアだと思ったこと)○
「参加者の意見をもっと聞きたかった」
「トラップにQRコードをつけるアイデアが良いと思いました」
「トラップに説明をつけると良いのでは」
「グリーンアノールの対策はまず、市民への情報提供が必要と感じました」
「マングースのように人々に知ってもらうことが大切だと思った」
「行政との関わりを持ってトラップ対策できたら」
「回収Box」
「公園愛護会との連携必要」
「直接みんなで捕獲するう大会みたいなものがあると面白いかも」
「発見アプリ、ポイントカード」
「死体を処理できる場をつくれると協力しやすいという意見」



悪天候の中ご参加下さった皆さま、スタッフの皆さま、お疲れさまでした。

30名以上の方にご参加頂き、いろんなご意見を聞くことができて大変ありがたい時間でした。

円卓会議は課題の見える化を主な目的としたものですが、たくさんのアイデア、人との繋がりを持つことができたのも大きな成果でした。

これからも末吉の森の保全を進めていければと思いますびっくり

(※)円卓会議は那覇市まちづくり協働推進課が主催、NPO法人まちなか研究所わくわくさんが企画・運営を行いました👏👏

✨


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「円卓会議ってどんなもの?」

円卓会議は上座も下座もなく座ってディスカッションする形のワークショップです。

もっと詳しく知りたい!という方は「公益財団法人みらいファンド」さんのHPをのぞいてみてくださいね。
みらいファンド「沖縄式地域円卓会議」


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Posted by 森の家みんみん at 20:31│Comments(0)環境教育イベントの報告
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